厚真町のような小さな町にビジネスチャンスはあるのか

   

 厚真町の人口が4,219人だと知ったとき、正直に言えば「少ないな」というのが最初の感想だった。

 旭川市に住んでいると、道内でも人口規模の感覚が少しずれてくる。30万人規模の街でも商売が簡単ではない現実を見てきたからだ。

 

 それでも、厚真町について調べていくうちに、単純に「人口が少ないから厳しい」と切り捨てるのは違う気がしてきた。

 この記事では、旭川市での体験や、実際にうまくいかなかった話も交えながら、厚真町のような小さな町にどんなビジネスの可能性があるのかを、あくまで個人の目線で考えてみたい。

     

旭川市で感じてきた「地方でも厳しい」という現実

 

 旭川市は北海道の中では大きな街だ。

 国道12号や国道39号沿いには店舗が並び、郊外型の商業施設も多い。

 

 それでも、実際に見てきたのは「人口があっても店は簡単に続かない」という現実だった。

 知人が国道沿いで始めた飲食店も、最初の一年は調子が良かったが、近くにチェーン店ができた途端に客足が落ち、結局三年ほどで閉めてしまった。

 

 正直なところ、その話を聞いたときは「立地が悪かったのだろう」と軽く考えていた。

 でも似たような話は何度も耳にした。

 旭川市ですらこの状況なのだから、人口が少ない町ではもっと厳しいのではないか、という先入観が自分の中にあったのは確かだ。

     

厚真町の人口を見て感じた率直な不安

 

 人口4,219人という数字は、やはり小さい。

 旭川市の一地区よりも少ない。

 

 正直に言えば、「この中で何を売るのか」「誰に向けた商売なのか」と考え込んでしまった。

 日常消費だけを相手にする商売では、どうしても限界が見えてしまう気がしたからだ。

 

 ただ、同時に思い出したのは、旭川市での失敗だった。

 人が多いはずの場所で、人の多さを当てにした商売をして、結果として続かなかった経験。

 人口という数字は、安心材料でもあり、錯覚でもある。

     

国道36号を見て考えが少し変わった

 

 厚真町を地図で眺めていて目に留まったのが、国道36号だった。

 苫小牧と札幌を結ぶこの道は、道内でも交通量が多い。

 

 一日あたり8,000台から1万台程度の車が通るとされていて、数字だけ見れば町の人口をはるかに超える。

 もちろん、そのほとんどは通過するだけだ。

 

 旭川市でも、国道沿いに店を出して「車は通るのに客が来ない」という話を何度も聞いた。

 だからこそ、通行量が多い=商売になる、とは単純に言えない。

 

 それでも、「町の人口だけで市場を考える必要はない」という当たり前の事実を、国道36号は思い出させてくれた。

     

道の駅「厚真(ハートピア厚真)」を起点に考える

 

 厚真町には、道の駅「厚真(ハートピア厚真)」がある。

 国道36号沿いにあり、休憩や買い物の場所として使われている。

 

 個人的に道の駅を見るとき、「どこまでが町の役割で、どこからが商売になるのか」を考えてしまう。

 多くの道の駅は、施設としては立派でも、消費はそこで完結してしまいがちだ。

 

 ハートピア厚真も、立ち寄る場所ではあるが、町全体にお金が落ちているかというと、そこは分からない。

 ただ、少なくとも「人が止まる場所」が既に存在していることは、大きな前提条件だと思う。

 

 旭川市でうまくいかなかったとき、最大の失敗は「人が止まらない場所で商売をしようとしたこと」だった。

 その意味では、厚真町はスタート地点が違う。

     

小さな町でこそ必要とされる仕事がある

 

 人口が少ない町では、派手な商売は成り立ちにくい。

 でもその代わり、生活に直結する仕事は確実に必要とされる。

 

 厚真町にはコープさっぽろ厚真店やサツドラ厚真店など、日常の買い物拠点が限られている。

 選択肢が少ないということは、不便でもあるが、需要がはっきりしているということでもある。

 

 旭川市では、便利さが当たり前すぎて、どんな商売も比較され、選別される。

 その競争の中で、うまくいかなかった経験を思い出すと、小さな町の「分かりやすさ」はむしろ魅力に感じる。

     

旭川での失敗が教えてくれたこと

 

 個人的に一番痛かった失敗は、「需要を大きく見積もりすぎたこと」だった。

 夜も人が来るだろうと考えて営業時間を延ばし、結果的に人件費だけが膨らんだ。

 

 厚真町で同じことをすれば、もっと早く行き詰まるだろう。

 だからこそ、最初から「小さく続ける」前提で考える必要がある。

 

 正直な話、拡大しないビジネスという考え方は、旭川にいた頃はあまり魅力的に思えなかった。

 でも今は、続くこと自体が価値だと思えるようになった。

     

小さな町のビジネスチャンスは「条件」にある

 

 厚真町の人口が少ないこと、知名度が高くないこと。

 これらは確かに制約だ。

 

 ただ、その制約は同時に条件でもある。

 競争が激しくなりすぎないこと。

 顔が見える関係が残っていること。

 小さな成功が町の中でちゃんと認識されること。

 

 旭川市では得られなかった手応えが、こうした町にはあるかもしれない。

     

書いてみて思ったこと

 

 人口4,219人という数字だけを見れば、厚真町はビジネスに向かない町に見える。

 でも、旭川市での体験や失敗を振り返ると、「人口が多いから安心」という考えがいかに脆いかも分かる。

 

 国道36号という交通の流れ。

 道の駅ハートピア厚真という立ち寄り地点。

 そして、生活動線が見えやすい町の構造。

 

 これらを前提に、小さく、無理をせず、続けることを目指すなら、厚真町のような町にも現実的なビジネスの余地はあると思う。

 少なくとも、人口の数字だけで可能性を否定するのは、もったいない。

 

 これは成功談ではなく、失敗を重ねた個人の感想だ。

 だからこそ、同じように悩む人には、一度立ち止まって考えてみてほしいと思っている。